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ヘミングウェイの家と、指の多い猫たち

アメリカ・フロリダ州の南の端にある島、キーウェスト。『老人と海』の作家ヘミングウェイが暮らした家が、今は博物館になっています。

緑の雨戸と鉄のバルコニーがある、白い2階建てのヘミングウェイの家
キーウェストのヘミングウェイの家(2006年)

この家には、今も60匹ほどの猫が住んでいます。そして、その半分ほどが、前足の指が6本や7本ある猫です。

白い猫の言い伝え

1931年、ヘミングウェイと妻のポーリーンは、この家に住みはじめました。家は、妻のおじさんが買って、ふたりに贈ったものです。

船の上で銃をかまえるヘミングウェイの白黒写真
アーネスト・ヘミングウェイ(1899–1961)

博物館によると、ヘミングウェイはある日、知り合いの船長から、指が6本ある白い猫をもらいました。名前はスノーホワイト。今いる猫たちは、その子孫だといいます。

指が多いのは、遺伝

指が多いのは、遺伝によるものです。親のどちらか一方から遺伝子を受けつぐだけで、指が多くなります。北アメリカで見つかったこの遺伝子の変化には、「ヘミングウェイ型」という名前までついています。

緑のベンチに寝そべる黒猫。前足の指が多い
ヘミングウェイの家に暮らす、指の多い猫(2007年)

昔の船乗りは、指の多い猫を「縁起がいい」「ネズミ取りがうまい」と好んだとも言われます。

猫の名前は有名人

ここの猫たちには、有名人の名前がつけられています。チャーリー・チャップリンという猫もいました。名前は職員の投票で決めるそうです。

本当に飼っていたの?

ところが、この言い伝えには、疑問の声もあります。息子のパトリックは「父はキーウェストで猫を飼っていなかった」と話した、とも伝えられているのです。

ただ、ヘミングウェイが猫好きだったのは確かです。のちに移り住んだキューバの家では、多いときで50匹以上の猫と暮らしました。1943年の手紙には、猫に「ウイスキーとミルクを一緒に飲むように教えた」と、楽しそうに書いています。

ちなみに、ヘミングウェイの名言としてよく紹介される「猫は気持ちにまったくうそがない」という言葉は、本人の文章には見つかっていません。弟の回想録に「兄がそう言っていた」と出てくる言葉です。

嵐の日も

2017年、大きなハリケーン「イルマ」が島をおそいました。職員10人は避難せず、54匹の猫と一緒に家に残りました。猫を集めはじめると、自分から家の中へ走りこんでくる猫もいたそうです。

厚い石の壁の家は嵐にたえ、猫も人も、全員無事でした。

今の暮らし

今、猫たちは家も庭も自由に歩き回り、12人ほどの職員が世話をしています。「座らないでください」と書かれた家具の上で、昼寝をしている猫もいます。

猫たちは毎週、獣医さんに診てもらっています。ほとんどの猫は避妊・去勢手術を受けていて、血筋をつなぐために、子どもを産むのは年に1組だけです。

庭には、ヘミングウェイが通ったバーの小便器を使った、猫の水飲み場があるといわれます。そして、猫たちのお墓もあり、1匹ずつ名前を刻んだ札が並んでいます。

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